栄香料のあゆみ

創業期

1945

歴史は薫り、時代は香ります。

栄香料の始まり

秤

「香りは人の笑顔をつくる」、「豊かな香りは、人の心も豊かにする」。

戦前から香料業界に従事していた創業者の仲山栄一は、「香り」には人の心を和ませる力があることを見抜いていました。

戦争が終わり、平和が訪れたときに香料は人々に安らぎをもたらすと信じた仲山と創業メンバーたちは、戦後食糧難の真っただ中であっても、次の時代に豊かな未来が来ることを確信し、香料文化を立ち上げることに一生を注ぐ決意をしました。

1945年8月栄商会創業

1945年8月、栄香料の前身である「栄商会」は終戦とほぼ同時に事業を開始し、焼け野原の中、東京日本橋に拠点を構えました。
日本橋は日本の薬品・香料会社の発祥の地と言われる由緒ある場所。
一握りの米さえも手に入れるのが困難な時代に、地主から「白米一俵持参する事が条件の一つ」と告げられた仲山は、日本橋から30kmもの道のりを米を担いで何度も通いつめ、信頼を獲得し、この地所に本拠を構えました。

創業者・仲山栄一
創業者・仲山栄一

創業当初、石鹸や洗剤などの必需品から事業が始まりました。
香しい花のにおいを持った石鹸の登場と共に、「風呂上がりの石鹸の香り」は女性らしさや母親のぬくもりを象徴する香りとなりました。また、男性の整髪料の香りが時代を象徴したこともあり、ポマードのラベンダーの香りは一世を風靡し、多くの人々に愛され続けました。小さな石鹸の香りから始まった夢は、戦後の日本の復興と共に大きく膨らみ、日本独特の町文化を生むことにも寄与しました。
栄香料はこうした時代ごとの香り創りに大きく貢献してきました。

石鹸・洗剤

成長期

1955

欧米では、香りが文化の質を語っている。

高度経済成長期が始まった1955年、当時は多くの加工食品や嗜好食品が続々と開発された時代でした。
加工食品の増加に伴い、食品フレーバーの需要も高まりました。

大泉研究所

そんな時代に、栄香料も飲料をメインとした食品フレーバーの開発に取り組み、実績を積み上げていきました。また、口腔ケアの意識の高まりから、歯磨き粉などのオーラルケア商品向けの香料の開発にも着手しました。
このような事業拡大に伴い、香料の研究開発、製造を行うために大泉工場・研究所を開設しました。

貿易も盛んになった高度経済成長期、栄香料も世界にも目を向けており、仲山栄一は「欧米では香りが文化の質を語っている。豊かな香りは、必ずや人々の心も豊かにするはず。」と考えました。
開業12年目の1957年に、知見を広げることと、原料調達まで見据えた提携パートナーを探すことを目的に、ヨーロッパ各国を訪問しました。
2ヶ月にわたる「香りの探索」では、最先端の香料技術を持っていた本場ヨーロッパの工房を巡り、数多くの企業と契約を交わしました。
原材料にこだわる姿勢は今でも受け継がれています。

1957年、創業メンバーが辿った路
1957年、創業メンバーが辿った路

その後、ヨーロッパから輸入した原料と、最先端の技術を取り入れた香料を開発し、海外進出の第一歩として、台湾や韓国へ香料の輸出を始めました。

その国のニーズに合った香料を提供するために、文化や習慣を学び、市場調査まで精力的に行い、国内外問わず多くのお客様に香料の提供ができるようになりました。

開花期

1992現在

『品』と『質』の追求

地球温暖化をはじめ、世界中で環境問題への意識が高まり、あらゆるものの品質と安全性を求められるようになりました。栄香料も環境に配慮した事業を推進し、品質と安全性を兼ね備えた製品を提供すべく事業の見直しと改革を行いました。

旧本社
旧本社
新本社
新本社

1992年7月、創業50年を目前に老朽化した日本橋本社ビルを建て替えました。創業当時と変わらぬ場所で、改めて事業の継続と拡大を志しました。

大泉工場・研究所の設備にも限界を感じ、このままでは環境に配慮した事業や品質と安全性を兼ね備えた製品の提供が難しくなるのではないかと考えました。
2005年頃、大泉工場・研究所の本格的な改修に向けて動き出しました。 しかし、工場の周りは住宅地になっており、新たな設備投資は不可能な状況でした。残された道は建て替えとなり、新たに工場用地を探した結果、埼玉県狭山市に決定し、2008年2月に狭山工場・研究所を竣工しました。

狭山工場

当時の最先端技術を兼ね備えた狭山工場・研究所(設計 aoydesign 一級建築士事務所)は、東京建築賞・第36回建築作品コンクール一般一類部門の「奨励賞」にも選ばれました。

奨励賞

現在、栄香料の事業は創業時の香粧品・フレグランスから、食品や飲料分野のフレーバー、オーラルケア商品向け香料まで、全領域へとフィールドを拡大しています。
「人の心を豊かに香らせたい」という変わることのない思いと、「品」と「質」を兼ね備えた工場・研究所の技術力をひとつに、安全で高品質な香料を皆様にご提供できるよう日々努力を重ねています。

創業100年に向けて

未来への挑戦

会社外階段

栄香料は未来へ挑戦し続けます。
これまで通りお客様との信頼関係はもちろんのこと、激化する市場の変化へ適応するために、常に自己革新を続け、進化し続けます。

単なる経済的な成功だけではなく、社会や環境に貢献するために、サステナビリティへの取り組みを通じて社会的な価値向上を目指します。

2025年現在、創業80年という節目を迎える栄香料は、創業100年に向けて社会に貢献できるよう、地球にやさしい安全な香り創りを目指して努力しています。

私たちは、夢のある香りによる「未来への挑戦」を続けていきます。

沿革

1945年8月 栄商会創業
1948年7月 株式会社栄商会設立
1954年2月 商号を栄香料株式会社に変更
1955年4月 大泉研究所開設
1957年3月 ヨーロッパに世界の香料会社を訪ねる
1959年11月 ヨーロッパ(フランス)から香料原料の輸入を開始
1963年6月 台湾に香料の輸出を開始
1967年2月 韓国に香料の輸出を開始
1974年7月 資本金2,400万円
1992年7月 新本社竣工
2008年2月 狭山工場・研究所を新設移転
2015年9月 ISO9001認証取得